【パーティー】よく見たら変 終
早着替え?マジック?
近くのカフェにすっと入った。
セルフサービスのお店だったため、それぞれ注文し、会計した。
そうなるように率先して自分から先に注文して自分で支払った。
(よく知らない人に借りを作りたくない。相当婚活でこじらせてる。)
この頃の季節は肌寒くなってきた秋頃。
パーティーの最中は白シャツだった白田さんも上着を着ていた。どんな上着かは忘れてしまったが、可もなく不可もないものだったと思う。
お互いがドリンクを受け取り、席に着く。
私は羽織っていた自分の上着を脱いだ。
白田さんも上着を脱いだ。
白田さんはパーティーで着ていた白シャツとは違う白シャツを着ていた。
白田さんのシャツ変化について
◯パーティー
白い無地のカッターシャツ。
まさに無印に売ってそう。
◯カフェ
白色。だが、無地ではない。
ガンダムのシルエットみたいな段が入っているシャツ。
くたくたな素材。
一瞬レディースものにも見える。
レディースによくあるフリルがたくさんデザインされてるシャツのメンズバージョン。
フリルではなく、縫い合わせによって段を作って強調している。
そして、縫い合わせの部分は黄色。
どこに売ってるんだそのシャツ。
こうやって群集心理が生まれるのだ
みなさまはこの白田マジックのからくりをお分かりだろうか…?
白田さんはシャツを着替えたわけではない。
パーティーに参加しているときから、ガンダム段つき白シャツを着ていたのだ。
あの暗い会場のおかげで、ガンダム段つき白シャツが無印の白シャツに見えていただけだったのだ。
錯覚、思い込みって本当に怖い…。
そして、白田さんはあのパーティーで男性一番人気だった。
ということは、あの会場にいた女性の多くが無印白シャツに見えていた可能性が高いのだ。(外見重視しがちな人間の偏った意見です。)
群集心理が生まれる始まりを、この日私は目撃したのだ。
緊迫の帰り道
本気で白田さんは着替えたのかと思い、目をぱちくりさせた。ばれないように細部を見た。
見れば見るほどなぜこの人とカップリングしたのかわからなくなった。
一刻も早く帰りたい。
一刻も早く飲み物を飲み干し解散しようと働きかけた。
お店から出て駅に向かう。
ーーーこのまま、このままどうか帰らせて…!
ーーーそして誰にもこの瞬間を見られませんように…!
横断歩道を渡れば、もうすぐ駅…!
歩道の信号は運悪く赤になった。
その時、白田さんは私があえて考えないようにしていたことをぶちこんできた。
「ライン交換しませんか?」
白田さんの白シャツ変化に気づいてからもう帰りたかった。その時から連絡先交換しないで終わりたいと奥底で願ってた。
カップリングしておいて、自分からお茶に誘っておいて、
「シャツがよく見たら変だったから連絡先は交換したくありません」
何て言えない…。
平静を装って、連絡先交換をし、駅で別れた。
その日のうちに白田さんからお礼とまた会うお誘いを頂いた。私もお礼をした。
誘いには「予定調整中なので~」と曖昧な返事をした。
その後、どちらも連絡することなく終わった。
暗い会場でのパーティーでは目の錯覚が起こること、貧乏性から来るミーハーなカップリングはいいことがないことを学びました。