【街コン】負のスパイラルな男たち17
皆様、全神経を動員して想像してみてください
「「ソノミさんも聴いてください!」」
無邪気な笑顔で差し出された片方のイヤホン。
私が高校生で、夕暮れの部活の帰り道、好きな人から「聴く?」と差し出された片方のイヤホンだったらどんなに素敵か…。
今私に起こっているのは
私は29歳。街コン会場にしてはおしゃれすぎるカフェで、季節外れのダウンジャケットを来た初対面の男性から、よく知らないバンドの曲を聴くように勧められている。
そもそも相手が知り合いだったとしても、イヤホン貸してもらうの抵抗あるタイプなんですが…!?
泣きたい。泣いて逃げ出したい…!!
戸惑いを隠せずうろたえている私が見えないのか、季節外れさんは「どうぞ!」と差し出してくる。
「私は結構です」の一言が言えず、
「…っ、はぃ……」とイヤホンを受け取ってしまった。
絶対に絶対に耳には入れたくないため、耳付近にイヤホンを近づけた。
(本当は触りたくもない)
ほぼ音漏れ状態で曲を聴いた。
(聴いたというか聞こえてきた状態)