【街コン】負のスパイラルな男たち13
弾まない会話
季節外れのダウンジャケットさんに話しかけられた。
季節外れさん「ソ、ソノミさん今日は一人で参加ですか?」
(やべ、商品を見るのに夢中で、話しかける隙を与えてしまった)
ソノミ「いえ、友人と参加しました。」
季節外れさん「………」
(えっ、会話終わり??)
季節外れさんは目をキョロキョロさせて何か話題を考えているようだった。
一応言葉を待ってみるが、何も出てこないようだった…。
(つらい)
耐えられなくなり、私から質問した。
ソノミ「何かいい商品ありました?」
季節外れさん「っ、商品、はい。たくさんありますね!」
ソノミ「…そうですねー」
(え…えーと。話聞いてた??)
突然の熱量アップに戸惑うしかない
あまりの噛み合わなさにどっと疲れて、場を離れようとした時、季節外れさんからまた声をかけられた。
季節外れさん「あのっ、休みの日とか何してますか?」
(んーむ唐突)
ソノミ「友達とお茶したり、家でドラマとか観てます。」
季節外れさん「…そうですか!」
ソノミ「…季節外れさんは何されてるんですか?」
(お情けの質問だよぉ~うわ~ん←岡田あーみん風に読んでください)
季節外れさんの顔が一気に『ぱぁぁぁぁっ!!』と明るくなった。よくぞ聞いてくれました!!!と言った表情で語り出した。
季節外れさん「俺はっ、○○っていうバンドのDVD見たり、動画見たり、たまにライブ行ったり、曲を聴いたりしてますっ!!○○って知ってます!?」
○○とはメジャーデビューはしているものの、まだ知名度は全国区ではないようなバンドのことだった。
ヒット曲は2~3曲あり、詳しくはない私でもわかった。
ただ、私は全くそのバンドが好きではなかった。むしろ絶対好んで聴かないジャンルだった。
ソノミ「あー、××っていう曲出してるグループですか?」
季節外れさん「そうです!!××は俺が一番好きな曲でっ!本当にいい曲なんです!!××知ってるなんて~!うわぁ嬉しいなっ!!」
と、突然温度を上げて○○というバンドについて勢いよく話し始めた。
いわゆるオタクが早口でバーっと好きなことについて語るような感じだった。
ただでさえ季節外れのダウンジャケットで体温が上がっているのか赤い顔がさらに紅潮していた。
ただ、「へぇ、そうなんですか」と相づちを打つしかなかった。
そして、心で泣いた。
か、帰りたい…