【街コン】とおるくん9
数枚の写真
強迫的に恋人行動をしているように見えることにモヤモヤを感じた私は、ある日彼の家にいる時に、直接尋ねてみた。
ソノミ「とおるくんって、行事とかいわゆる恋人っぽさを強く気にしてるよね…?私は正直そこまで意識してないんだけど…」
(本当はもっとしどろもどろ)
とおるくん「…っ。…うん…」
何かを決心したかのようにクローゼットに向かい、何かを取り出している。
ソノミ「???」
とおるくんが真面目な顔をして数枚の写真と、免許証のようなカードを見せてきた。
写真には若いとおるくんが友達と写っていた。免許証のようなものは大学の学生証だった。
どちらも今のとおるくんと雰囲気が違う。
今のとおるくんは黒髪短髪のいわゆる普通の顔の濃いサラリーマン。
写真のとおるくんは、ギャル男風?
金髪に近い髪色、肩につかないくらいのロン毛、眉もつりあがっている。
ソノミ「これは、大学生の時のとおるくん?雰囲気違うね。」
とおるくん「…うん」
とおるくんを見ると、今世紀最大の罪を犯した罪人かのように青ざめ、硬直した表情をしていた。
(絵にするなら進撃の巨人の画風です。)
罪人は語る
とおるくんか重たい口を開いて説明してくれた。
- 自分は地味で非モテで、大学で始めて彼女ができた。
- とおるくんは彼女のタイプど真ん中の顔をしていたようで、一目惚れされ、押されて付き合った。
- 初彼女が髪型やファッション、恋人としての振る舞い、女の子への振る舞いを細かく「指導」してくれた。
- 初彼女の期待に応えたくて言う通りにいろいろしていた。
- その結果大学の時はこんななりをしていた。
- 初彼女しか女の子を知らないので、その時に指導されたことをやっている。
正直に話してくれたことに感謝をしつつ、心の中で私は戸惑った。
こんなことを告白する、そうするしかなかったとおるくんを「かわいい」と思えなかった。
むしろ、なんか気持ち悪いなとすら思ってしまった。
そんなことを心の片隅で感じながら、表面的には
ソノミ「そうだったんだ!話してくれてありがとう。私はそこまで型にはまったことは求めてないから気にしないでね~」
と取り繕った。(本当はもっとしどろもどろ)
その話題はこれで終わったのだが、その時のとおるくんはまだスッキリしない顔をしていた。
これは実はラストへの伏線なのだ。
(伏線をあらかじめ伝えるニュースタイル)
とにもかくにも!今書いてても、自分の未熟さが恥ずかしいし、情けない。