【奈落の底】バーベキュー大会5
暴走するお調子者
突然、『メモリアル係』であることを宣言したサッカーさんは私たちの嫌な予感通りにカメラを構えた。
私たちの方向に。
ソノミ「えっ、ちょっと私たちを撮るんですかっ?」(精一杯の笑顔=苦笑い)
サッカーさん「決まってるじゃん!今日の記念を残さなきゃ!笑って!」
会って20分たらずの得たいの知れない男性に向けられたカメラに満面の笑みを差し出せる女性っているのかな。
それができたら結婚できるのかな。
私は無理。
少なくともその場にいた女性陣は全員引いていた。
「そういうの苦手だから」とかなんとか言って写真撮影は拒否した。結構真面目なトーンで説明したらさすがのお調子者でも理解してくれたようで、その場は退散した。
と、思ったらすぐさま、あさみの同僚女性にも同じように写真を撮ろうと近づいていった。
そして、私たちと同様、あからさまに嫌がられていた…。
誰がどう見ても嫌がっていた…。
サッカーさんがすごいのは女性にこれだけ嫌がられたのに、めげずにこの後もちょくちょく
「ここはメモリアル係が!記録とります!」と言って、写真を撮ろうとしていたところだ。
さらにこのサッカーさんの迷惑行為を男性陣が誰一人として止めようとしたり、たしなめたりする様子もなかったことにもゾッとした。
お調子者の域を越えた犯罪者に近いと思う。
崩壊
犯罪者にドン引きし、もう疲弊しまくりであるが、バーベキューは始まったばかり。
まだ肉は食べていない。
若林さんらが用意してくれた鉄板は2つあった。
男性二人ずつくらいが火を起こして肉を焼いてくれていた。
普通だったら、この肉焼きの作業に女性も混じって和気あいあいといったはずであるが、いかんせん、ここは地獄。
冒頭のメンバー紹介と犯罪者(サッカーさん)のインパクトによって女性陣のHPは削られまくっていた。
特にあさみの同僚たちは帰りたいオーラが半端なかった。
女性陣で固まり、動く気配がない。
肉を食べるために鉄板に近づいて、男性陣と触れあうことは全力で避けたいのがよくわかった。
そして、男性陣も男性陣で女性陣のガードを緩める術がないようであった。
ある者は肉を焼き、ある者は酒を一人で飲み、またある者はスマホをいじっていた。
バーベキュー大会崩壊の瞬間である。